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生活に必要な三大要素のひとつである「食」を扱う食品業界は、就職先として非常に高い人気を誇ります。
特に、サントリーグループや味の素、明治グループなど、名の知れた大手食品メーカーは就職を希望する人が多く、内定を獲得するのは至難の業と言っても過言ではありません。
その狭き門を突破するには、業界研究を入念に行うことに加えて、ライバルと差を付けられる自分ならではの強みをアピールすることが重要です。
本記事では、「食品業界の面接対策」を紹介しています。早期に対策を始めて、本番では成果を存分に発揮できるようにしましょう。
食品業界とは
菓子・冷凍食品・乳製品などの加工食品、小麦粉・調味料・油などの食品原料、清涼飲料水・ビールなどの飲料・アルコール類を製造し、消費者に提供しているのが食品業界です。
では、その詳しい実態について見ていきましょう。
食品業界の特徴
食品業界は、製品の開発や製造を担う「食品メーカー」の他にも、原材料の調達を行う「総合商社」「第一次産業」、最終消費者に製品を販売する「食品小売業界」「外食産業」が含まれます。
基本的に、日本では国内外から輸入した原材料を加工して販売する形態が多いため、原材料を調達する工程を担う総合商社などは、非常に重要な役割を持っています。
現在、世界的に課題となっているのが輸入原料の価格高騰化。そんな状況にも関わらず、客離れを懸念し、なかなか値上げに踏み切れない企業も多いのが実情です。
そのため、今の食品業界で重要視されているのは、いかに魅力的な商品を生み出せるか。価格以外で競合他社との差別化を図れることから、商品開発の重要性は今後ますます高まっていくことでしょう。
食品業界の市場規模
「財務省」の産業別売上高の記録によると、2021年の食品製造業の売上高は41兆6,385億円(前年比1.2%減)、営業利益は1兆2,097億円(前年比25.6%増)という結果でした。
売上高自体は2019年度から低迷気味ではありますが、新型コロナウイルスの経済自粛の影響もそれほど受けることがなく、概ね成長傾向にあると言って問題ありません。
現在は海外での日本食ブーム、健康食品の需要拡大、ネットスーパーの普及化などが話題のトピックとして上げられており、食品産業のあり方も人々のニーズとともに変化してきています。
長期的な目で見ると、人口減少が課題となっている日本では市場縮小が危惧されています。しかし、「食」は人の生活にとって欠かせないものであるため、食品産業は今後も経済の中心的存在であり続けるでしょう。
参照:業界動向|SEARCH.COM 株式会社矢野経済研究所
食品業界の主な職種
食品業界の主な職種は、以下の5つに分類することができます。
・研究職、生産技術、商品開発
・商品企画(マーケティング)
・商品生産、品質管理
・営業、販売
・管理(経営企画、経理、人事/労務、総務)
研究職や商品開発はその名の通り、専門的な研究業務や、商品の開発を担当します。商品企画と連携し、実際に自分の手で商品の開発に取り組めるのが特徴です。
また、商品企画は食品業界の中でも重要な役割を担うポジションであり、市場調査から得たデータをもとに新商品を開発するためのアイデアを考案するのがミッションです。
上記でも少し触れましたが、小売業で他社との差別化を図る重要なカギは、消費者にとって魅力的な商品を生み出せること。
そのため、この商品企画の仕事には、ニーズを的確にくみ取る力や柔軟な発想力、分析力など、様々な能力が求められます。
食品業界で求められる人材
食品業界で求められる人材は、以下になります。
・食に対して強い関心があり、こだわりがある人
・豊かな感性があり、ユニークな発想力を持っている人
・責任感や誠実さを持って仕事に取り組める人
・コミュニケーション能力に長けている人
食品業界において、どの職種でも総じて求められるものは、「誠実さと実直さ」。人の生命に関わる「食」を扱う業界であることから、衛生管理は徹底して行い、安全面には絶対的な配慮を行わなければなりません。
そのため、自分の仕事に責任を持ち、ミスのないよう視野を広く持って誠実に取り組める人は重宝される傾向にあります。
また、「食」に対して強い関心がある人は、面接においてもやはり良い評価を得られることが多いようです。
そのため、日頃から自分なりに味や食感を追及したり、様々なメーカーの新商品をこまめにチェックしている人なら、入社後も幅広く活躍していけることでしょう。
食品業界の面接攻略のポイント
食品業界では、知識量が多いほど面接が有利に働く傾向にあります。業界のことはもちろん、食品や商品に関する知識を多く持っていれば、面接でもそれを活かすことが可能です。
また、自分の強みについて、それに付随するエピソードと共に話せるようにしておくと良いでしょう。
面接は自分の魅力を存分にアピールする場です。ただ強みや長所を並べるよりも、実体験に基づいたオリジナルのエピソードを織り交ぜることで、面接官の印象に強く刻むことができます。
その他にも、重要なポイントについて下記で紹介しています。
様々な商品知識を身につけておく
「食品」は身近に手に入るものが多いため、他の業界よりも一般消費者が得られる情報が多いのが特徴です。
面接においても自社商品の知識はもちろん、話題になっている新商品のことなどを問われることもあるため、日頃から積極的に情報収集を行っておくことをおすすめします。
また、食品業界では、入社後も継続的に知識や情報を更新していくことが必要です。さらに研究職や企画に携わる仕事に就きたい人は、それらに加えて、トレンドや消費者ニーズを正確にくみ取る力も求められます。
そのため、日頃から新しい情報を収集する習慣がある人は、面接でも自分の強みとして積極的にアピールしていきましょう。
志望企業の気に入っている商品について自分なりに分析してみる
食品業界の面接では、注目商品に関する質問も多くされる傾向にあります。そのため、志望企業の商品の中から気に入ったものをいくつかピックアップし、必ず下調べをしておくようにしましょう。
最も良いのは、実際に購入して試食してみること。実際に食べてみないと分からないこともあり、そこで得られた情報は面接でも活かすことができます。
また、味や食感、パッケージのデザインなどから、「なぜその商品が売れているのか」「もっとこうしたらさらに売れるのではないか」など、自分なりに分析してみるのもおすすめです。
「食」にまつわる自分なりのエピソードを考えておく
食品業界では、「食」への関心度の高さやこだわりなどがアピールポイントになります。そのため、思い入れのある商品などを例に挙げ、それにまつわるエピソードを話すのが効果的です。
例えば、幼い頃によく食べていたお菓子や、ご褒美に買ってもらっていたアイスなど、自分にとって特別な思い出があるものを探してみましょう。
ポイントは、好きな理由や背景を明確にすること。商品のどこに魅力を感じ、どんなこだわりを持っているのかを具体的に話せると、高い評価を得られやすくなります。
食品業界でよく聞かれる質問と回答例
<よく聞かれる質問>
・志望動機は何ですか?
・学生時代に頑張ったことは何ですか?
・入社後のキャリアビジョンをどのように描いていますか?
・自分の強みを志望職種にどのように活かしたいと考えていますか?
・入社後に挑戦してみたいことはありますか?
・あなたの「食」へのこだわりについて教えてください
・弊社の商品で好きなものとその理由を教えてください
・最近の食品関連のニュースで気になったものはありますか?
・どんな商品を作ってみたいですか?
・最も弊社らしいと思う商品は何ですか?
・あなたを弊社の商品に例えるとしたら何だと思いますか?
・これからの弊社に必要なことは何だと思いますか?
・お客様の信頼を得るために大切なことは何だと思いますか?
・新商品に関するアイデアを教えてください
上記は、食品業界における頻出される質問の一例です。食品業界の就職を目指している方は、最低限これらの質問にはスムーズに答えられるようにしておきましょう。
以下では質問を3つピックアップし、回答例と解説を紹介しています。
自分の強みを志望職種にどのように活かしたいと考えていますか?
<回答例>
私は自分の強みである「リサーチ力」を活かし、マーケティング部門で「お客様の真のニーズ」を見つけ出したいと考えます。
私は幼い頃から分からないことや疑問に思ったことについて、「知りたい」という欲求が人一倍強かったため、自然と「自分で調べる」という習慣が身についていました。
大学の授業で「ファストフードと肥満の関連性」についてのレポートを課された時も、できる限り正確で生きたデータを得たいと考え、実際にファストフード店の近隣に自ら出向き、街頭アンケートを実施しました。
結果、5日間で100人近くの声を集めることに成功し、他の学生よりも関連性を浮き彫りにした結論を述べることができました。
御社でも、収集した情報からお客様が「本当に求めている価値」を見つけ出し、魅力的な商品を作るサポートをしたいです。(全346文字)
<解説>
この質問には、応募者が自社にどのように貢献してくれるのかを見る他に、自分の適性に合った職種をきちんと選択できているかを判断する意図があります。
ポイントは、自分の強みに付随する実際のエピソードを織り交ぜて話すこと。特に成功体験などはその実績を数値で表せると、話により根拠性を持たせることができるのでおすすめです。
あなたの「食」へのこだわりについて教えてください。
<回答例>
私はスーパーなどで食品を購入する時、自分なりの基準に沿って選んでいます。それは、「簡単に調理できて、且つ安全性の高い食品」であることです。
そのような考えを持つようになったのも、幼い頃のある経験が関係しています。
私の家は両親が共働きだったため、夕食を妹と2人で済ませることが日常でした。母は私たちの栄養バランスを考え、できるだけ作り置きをするようにしてくれていたのですが、その負担は大きかったように感じます。
そんな時、母が御社で販売している冷凍食品を食卓に出してくれたことがありました。レンジで温めるだけなのに、ついさっき作ったかのような出来映えに私は深く感銘を受けました。また、化学調味料を一切使っておらず、子どもでも安心して食べられることが母が選んだ理由だったようです。
そうした経験から、忙しい時でも短時間で調理できること、体に害のない成分が使われていることの2点を軸にして、私は食品を選ぶようになりました。御社でもその軸を大切にし、多くの家庭に「手軽さ」と「安心」を提供していきたいと考えます。(全449文字)
<解説>
食品業界で働く人に共通して言えるのは、食べ物が好きで、「食」へのこだわりを持っているということ。
そのため、応募者の「食」に対する考え方や価値観を知ることで、自社の社風に合ってるか、入社後にどのように貢献してくれるのかなどを見極めているのだと考えられます。
ポイントは、こだわりを持つきっかけとなった背景を明確化すること。ただこだわりについて話すのではなく、その背景像まで具体的に話すことで、より説得力のある説明になります。
お客様の信頼を得るために大切なことは何だと思いますか?
<回答例>
「期待に応え続けること」だと思います。
理由は、何度購入しても自分の期待に応えてくれるといという安心感が、その商品に対する信頼につながるからです。
お客様が「商品をまた購入したい」と思うのは、実際に食べてみて、自分が求めていたものと合致した、あるいは求めていた以上のものが得られた時です。
スーパーなどで買うものに迷った時でも、何度か食べて良かったものは「この商品を買えば間違いない」という認識になり、繰り返し選ぶようになります。
そのような人の心理から、お客様の期待に応え続けることこそが、長きにわたってお客様の信頼を獲得できる要素になるのではないかと考えます。(全278文字)
<解説>
食品業界はお客様の信頼の下で成り立っています。そのため、応募者の「信頼」に対する考え方や価値観を判断するべく、このような質問をされることが多いです。
ポイントは、論理的な構成で分かりやすく話すこと。まずは結論を簡潔に述べ、次にその考えに至った理由を明確に伝えるようにしましょう。
まとめ
食品業界における面接では、「食」への関心度の高さや知識量が武器になるため、会話の中でそれらを上手くアピールすることが内定を獲得するためのカギになります。
この記事を読み、ぜひ自分なりの対策法を見つけてくださいね。
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<出典>
財務省「年次別法人企業統計調査(令和3年度) 」2022/9/1
業界動向サーチ (SEARCH.COM)「食品業界の動向や現状、今後などを分析」2022/12/28
株式会社矢野経済研究所「食品小売市場に関する調査を実施(2021年) 」2021/12/27