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高卒での就職を考えていると「高卒で就職とかやばくない?」「高卒での就活はやめとけ」と周りの人に言われた経験がある方も多いのではないのでしょうか。しかし周りがいう「やばい」は半分正解ですが、実は半分不正解です。
ここでは「やめとけ」と言われる理由を実際のデータとともに紹介し、攻略法について解説します。
おすすめの仕事や適性診断も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
高卒就職はやめとけと言われる5つの理由をデータをもとに解説
「高卒での就職はやめとけ」と言われてしまう理由は主に次の5つです。
就職できる業界・業種が制限される
就職先で出世しづらい
転職する際の選択肢が限られる
生涯賃金が大卒と比べて6000万円ほど低い
結婚などのイベントで不利になる可能性がある
ここではこれらの理由が本当なのか、またこれらを解決する方法があるのかどうかについて解説します。
就職できる業界・業種が制限される
理由の1つ目は「就職できる業界・業種が制限される」というもの。
たしかに求人には大手企業の総合職や開発職、士業などを中心に「大卒以上」と記載されている案件がありますよね。実際求人検索エンジンIndeedにて「大卒以上」で検索すると、執筆段階で118,736件のヒットがあります。つまり世の中の求人の中で、少なくとも118,736件は高卒ではそもそもチャレンジできないことになります。
ただ大卒以上の求人は、そもそも高卒での就活生と相性がよくないのも事実です。
多くの総合職や開発職では大学や大学院で学ぶ知識やスキルが必要なケースが多く(業界、業種によって統計学や力学、化学など様々な専門分野が必要となります)、高校卒業段階の基礎知識では、知識や経験が不足しているのです。
大卒以上でないと就職できない業界・業種に就職したい方は、高卒での就職ではなく大学に進学するほうが希望に沿った就職がしやすいといえるでしょう。
ちなみに高卒でも、就職自体はできると考えて問題ありません。
毎年厚生労働省から「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」が発表されており、調査時期によって多少数字の変化はあるものの、高卒での就職内定率は例年90%以上となっています。
就職先で出世しづらい
「就職先で出世しづらいから、高卒での就職はやめた方がいい」という話もよく聞きます。
高卒で出世しづらい原因のひとつとして、「総合職」と「一般職」の違いがあります。
総合職は管理職候補として様々な部署や仕事を経験するような職です。対して一般職は総合職をサポートするような、どちらかというとマニュアル化された定型業務が多い職となります。大卒を求める求人には「総合職」が多く、高卒可での求人には「一般職」が多いため、出世のしづらさに影響しているのです。
実際「令和3年賃金構造基本統計調査」を参考に、高卒と大卒それぞれの年齢階級の賃金から昇給の割合を計算すると、高卒が平均+2%に対し、大卒は平均+6%昇給していることがわかります。
年齢階級 | 高卒 | 高卒の昇給割合 | 大卒 | 大卒の昇給割合 |
~19歳 | 18.2 | - | - | - |
20~24歳 | 19.9 | 9.34% | 22.9 | - |
25~29歳 | 22.4 | 12.56% | 26 | 13.54% |
30~34歳 | 24.7 | 10.27% | 30.1 | 15.77% |
35~39歳 | 26.5 | 7.29% | 34.6 | 14.95% |
40~44歳 | 28.3 | 6.79% | 38.6 | 11.56% |
45~49歳 | 30.1 | 6.36% | 42.6 | 10.36% |
50~54歳 | 31.0 | 2.99% | 48.4 | 13.62% |
55~59歳 | 31.4 | 1.29% | 48.5 | 0.21% |
60~64歳 | 25.2 | -19.75% | 37.1 | -23.51% |
65~69歳 | 22.6 | -10.32% | 35.2 | -5.12% |
70歳~ | 21.6 | -4.42% | 38.3 | 8.81% |
平均の昇給割合 | 2.04% | 6.02% |
たしかに就職先での出世には、学歴が影響しやすいと言えそうです。
転職する際の選択肢が限られる
転職する際の選択肢が限られる点も、高卒のデメリットとしてよく挙げられます。
「就職できる業界・業種が制限される」で紹介した通り、大卒に限定した求人は一定数存在するため、転職の点でも学歴が影響するといえます。
しかし一部の求人では「大卒以上」を前提としながらも「実務経験がある場合は、学歴不問」のような案件があるのも事実。
「高卒で就職したいけど、どうしても目指したい業界・業種がある」といった場合、その業界・業種内で実務経験があれば転職が可能な求人の有無をまずチェックしましょう。もし「実務経験がある場合は、学歴不問」の求人があれば、同じ業種の別企業に、希望する職種とは別の職種として一旦就職するのです。そして就職後、数年かけて希望の職種に異動し業務経験を身に着けられれば、大卒以上の求人にもチャレンジできる可能性があります。
生涯賃金が大卒と比べて6000万円ほど低い
「高卒は生涯賃金が大卒と比べて低いからやめとけ」という話もよく言われ、こちらも事実です。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表している「ユースフル労働統計―労働統計加工指標集―2021」によると、推計の高卒の生涯賃金は男性であれば2億1千万円とのこと。対して大学・大学院卒であれば、2億7千万円と、実に6000万円の差になります。
大学院卒も入っているので実際の高卒と大卒の生涯賃金差はもう少し縮まると考えられますが、高卒と大卒には明確な差があると考えて問題ないでしょう。
また女性も高卒で1億5千万円、大学・大学院卒で2億2千万円の推定生涯賃金となり、女性でも同様に高卒と大学・大学院卒では生涯賃金に明確な差があります。
キャリアプランを考えて資格を取得する、転職する、といったかたちで意識的に収入を増やさないと、大卒との生涯賃金の差をひっくり返すのは困難でしょう。
結婚などのイベントで不利になる可能性がある
高卒で就職することにより、上記のデメリットが結婚などのイベントにおいて不利に働く可能性があります。具体的には収入の低さなどから相手に選ばれづらくなったり、相手側の保護者の理解を得ることが難しくなったりといったことが起こるかもしれないのです。
高卒での就職したことで人生のイベントで足を引っ張られないためにも「就職がゴールではなく、スタートである」と考え、キャリアプランと積極的に向き合っていきましょう。
「高卒で就職すればよかった」と大卒を後悔させる高卒就職の3つのメリット
高卒での就職に対してネガティブな点を解説してきましたが、高卒での就職にはメリットもあります。
大学の進学組が「高卒組が羨ましい」と後悔しやすい、高卒就職のメリットは次の3つです。
社会人経験を早く積める
経済的に早く自立しやすい
転職することで生涯賃金を上げられる
社会人経験を早く積める
高校卒業してすぐに就職すると、大学へ進学する場合と比べて4年、大学院まで進学する場合に比べて6年も早く社会人を始めることになります。
すると大学進学組が社会人1年目になる頃には、高卒就職組は社会人5年目です。当然仕事のスピードも業務に対する理解も遥かに高いので、大学進学組を圧倒できます。
もちろん大学に進学したとしても、長期インターンなどで企業に入ることで社会人経験を積むことも可能です。しかしインターンはあくまでインターン。大学での学業と並行する前提で企業側も学生側も考えているので、社員として就職する場合と比べてどうしても社会人経験としての濃度が違う場合が多いです。
高卒でも就職できる業種・業界を希望していて社会人経験を早く積みたい人には、高卒での就職もおすすめです。
経済的に早く自立しやすい
就職すると給料が発生するため、高卒での就職すると経済的に早く自立しやすいメリットもあります。
実際、株式会社ジンジブが就職を考えている高校生に対して行った「就職を決めた理由を教えてください」との設問の回答では「自立して稼げるようになりたい」が36.2%と最も多い結果となっています。
(出典:高卒採用ラボ)
経済的な事情などで早く経済的に独立したい場合には、高卒での就職も一つの有効な手段といえるでしょう。
転職することで生涯賃金を上げられる
「高卒は生涯賃金が大卒と比べて6000万円ほど低い」と紹介しましたが、生涯賃金はあくまで過去の統計からの推計です。
高卒であったとしてもキャリアプランを練り、資格やスキルを身に着けて転職を行うことで、生涯賃金を上げることも可能となります。
たとえば先に述べた「大卒が対象でも業務経験があれば学歴不問」のとある求人案件では、経験・スキル・年齢を考慮の上、月給が22万円~40万円に設定されます。当然この求人では高卒であっても大卒と同じ土俵で給料が設定されるため、生涯賃金は大卒と同等水準となるでしょう。
このように高卒であっても収入を上げる方法があるので、「高卒だから就職・転職も限られるし出世もしづらいから、生涯賃金はどうしても少ないんだ……」と一方的にネガティブにとらわれる必要はありません。
大学進学組よりもひと足早く社会人になった強みを活かし、希望のキャリアを構築していきましょう。
高卒就職でおすすめの就職先8選
高卒就職でおすすめの就職先を8つ紹介します。それぞれのおすすめポイントやキャリアアップの方法についても合わせて解説するので、興味のある分野を確認しましょう。
営業
不動産営業や保険営業に代表される営業職。
実際はひとことで営業といっても、カーディーラーや住宅展示場、光通信やモバイル端末などの通信サービス、ウォーターサーバー、企業向けの技術営業など活躍できる現場は多彩です。
営業職がおすすめの理由は、学歴不問の求人が多い上に実績次第では昇給・昇格のチャンスがあるからです。また実績を武器に不動産営業や保険営業など、高収入を狙える業界への転職も可能。
収入が安定しなかったり、適性がないとストレスに耐えられなかったりと、デメリットもありますが、シンプルなキャリアアップが魅力です。
IT関連業
プログラマやWebデザイナーなどのIT関連業も、高卒就職でおすすめの就職先。
要件が高卒以上の求人が多い上に、身につけたスキルや経験を武器に転職を行うことで収入を伸ばしやすい業界だからです。
IT関連業も様々で、たとえば下記のような職種があります。
興味のある分野、性格が向いている分野を選ぶと、比較的苦労が少なくスキルを伸ばせられるかもしれません。
プロジェクトマネージャー
システムエンジニア
プログラマ
フロントエンドエンジニア
データベースエンジニア
組み込みエンジニア
フィールドエンジニア
テストエンジニア
Webマーケター
Webデザイナー
データアナリスト
公務員
公務員は民間の企業と比べ給料や休日などの条件面で高待遇になりやすいメリットがあります。
対して公務員のデメリットは就職活動時に面談などに加え公務員試験に合格する必要があることです。また転職に有利となる専門スキルが身につきづらい、副業が難しいなどの理由で積極的なキャリア構築が困難な点もネックとなります。
しかし「積極的なキャリア構築をするような性格ではないし、どちらかというとワークライフバランスを充実させたい」という方に公務員はおすすめです。
建設業
建設業も人気の就職先です。
賃金が他の業種よりも高めであること、手に職がつく職種であることから高卒での就職先におすすめといえます。スキルを身に着けて転職を行うことで、さらに収入を上げることも可能でしょう。
また土日はしっかりと休みになる現場が多いのも嬉しいポイントです。
製造業
製造業も高卒での就職先におすすめ。
理由としては大企業でも製造現場であれば就職しやすく、高い収入を狙いやすいためです。また製造現場は深夜や休日でも稼働していることも多いため、深夜手当や休日手当など基本給以外の手当も充実しています。
業種によって電気工事士や危険物取扱者などの資格を取得することで、資格手当による収入増加も期待できます。
運輸業
運輸業とは航空機のパイロットやトラックドライバー、バスや電車の運転手を指しますが、ここではトラックドライバーについて紹介します。トラックドライバーは宅配ドライバーや企業間の物資の輸送ドライバー、引っ越し業者のドライバーなど多彩ですが、どのトラックドライバーも人手が不足しており、就職がしやすい状況です。
拘束時間が長めであるデメリットはありますが、基本的には一人で仕事を進めることになるので人間関係のわずらわしさが少ないメリットもあります。新卒で運輸業に就職し、準中型や大型免許を取りながら輸送歴を伸ばし転職することで、収入も伸ばしやすいでしょう。
販売接客業
販売接客業も高卒での就職先に人気です。
特別な資格が不要で、お客さんとのコミュニケーションを楽しめる方にはぴったりの就職先でしょう。スキルとしても接客のみならず、昇進していくことで人材育成や店舗の運営、経営の経験も積むことができます。マネージャーのようなポジションになると転職により収入を上げることも可能でしょう。
土日や祝日に出勤が必要なデメリットがあるものの、代わりに平日が休みになり混雑の少ない状態の観光地を楽しめる点はメリットです。
福祉介護関連
福祉介護関係も高卒での就職先に選ばれやすい職種です。
福祉系の職場は給料体系に大卒や高卒があまり影響しないと言われており、この点からも高卒の方が給料をネックに感じづらいのではないでしょうか。
また現場で経験を積みながら介護福祉士の受験資格を獲得し、試験合格を経て資格を取得することで、資格手当を得ることができます。
ちなみに介護福祉士養成施設に2年以上通うことでも介護福祉士の受験資格の獲得は可能です。
まずはログキャリで適性診断を受けてみよう
高卒での就職は「社会人経験を早く積める」「経済的に早く自立しやすい」メリットがある反面、次のデメリットがあります。
就職できる業界・業種が制限される
就職先で出世しづらい
転職する際の選択肢が限られる
生涯賃金が大卒と比べて6000万円ほど低い
結婚などのイベントで不利になる可能性がある
しかし高卒の就職率は例年高い水準を保っているので、就職自体は問題ありません。またスキルや資格を身に着け・転職などのキャリアアップを行うことで、収入面での不安はカバー可能といえます。
ここで大事なのはあなた自身の性格や考え方について知ることです。
自分の性格がわからないと自分自身に合わない職場に就職してしまう、キャリアアップのモチベーションが湧かないなど、社会人生活がうまくいかない原因になってしまうかもしれません。
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